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JUNKANS

循環ズ

2024.05.29

買うモノを減らし、修理を増やし、不要になったら必要とする人に引き継ぐこと、これも一つの循環方法。「新品よりもずっといい」をコンセプトに活動するパタゴニア Worn Wearの取り組みのお話。

今回は2024年4月7日に開催された第4回循環フェスのステージイベントにて、パタゴニア日本支社サーキュラリティ部ディレクター平田健夫さんと京都を中心に活動する学生二人と対談の様子をお届けいたします。

 

登壇者紹介

平田健夫

パタゴニア日本支社
サーキュラリティ部ディレクター
1974年生まれ、2015年パタゴニア日本支社入社。 2022年1月に新たに創設されたサーキュラリティ部の責任者として、製品寿命を延ばすためのリペアやリユース、最終手段としての適切なリサイクルを実践する循環型ビジネス構築をリードする。
休日は山や海、畑など自然の中で過ごす時間を楽しむ。

 

新美月

循環フェス学生実行委員/京都外国語大学グローバルスタディーズ学科4回生
独学で洋服作りを学び、廃棄予定だった色打掛のアップサイクルや自身のお洋服を制作。大学入学後、サーキュラーファッションに対し強い関心を抱き独学でサーキュラーエコノミーとファッションについて独学で勉強中。大学4年次には一年間大学を休学し現在まで服に携わる工場を巡り生産者とお話を続ける。循環フェスでは、学生運営企画として、ステージイベントを企画したり、循環にまつわる出店者様のお探しなどのお手伝いをさせていただいています。

 

速水瑠奈

立命館大学2回生/「potential」代表/「ラピスプライベート」メンバー「ウラカタの晴れ舞台」をコンセプトに電子廃材を輝かせるブランド「potential」の代表、べじからふる絵の具「ラピスプライベート」メンバー、「循環フェス実行委員会」メンバーとして活動中。さらに2023年4月よりソーシャルデザイン・コミュニティデザインなどを手掛けている「株式会社ここにある」インターンとしての活動を開始。幸せの循環を創るために日々奔走しています。

 

木下京介

NPO法人グローカル人材開発センター
ライフテーマは「自由に幸せに生きる」。行動指針は、知識に貪欲であること・行動に迅速であること・思考に強靭であること「7世代後の子たちが自由に幸せに生きることができる持続可能で平和な社会」を実現するため、ファシリテーターとして、グローカルセンターでは教育に、個人では企業の組織開発や持続可能なビジネスモデル作りに携わっている。

 

イントロ

循環フェスとは、京都市を中心に新しい古着の循環方法を若者と共に広げるリユースの祭典。 2022年に始まり、Z世代やリユースに関わる人々とともに国内古着の新たな居場所を生み出す、新たな「循環」のムーブメントです。

イベントでは使用済み衣服回収ボックス『RELEASE⇔CATCH』による古着の回収や、回収された古着のうちお気に入りのものを3点まで¥0でお持ち帰りいただける『¥0Market』を開催しています。

他にもマルシェ、マーケット、ワークショップ、展示、さらにステージイベントなどコンテンツが充実!

 

ステージイベントって?

循環フェスステージイベントでは、専門家や業界関係者と若者が登壇し、循環にまつわるお題について多様な目線でトークが繰り広げられます。来場者様と共に登壇者自身にも学びと気づきのある空間が生まれます。

またアクロバティックなパフォーマンスやファッションショーなども行われ、会場を熱気と興奮で包み込みます。

 

パタゴニアについて

パタゴニアは米国発祥のアウトドア企業。創業者は世界的なロッククライマーのイヴォン・シュイナード氏。同氏が1957年に立ち上げたロッククライミング用具の製造販売会社が前身。日本においては直営店は全国23店舗—「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」というミッションステートメントのもと、環境に配慮したウェア/ギアや、責任ある方法で作られた食品を製造・販売する。気候危機によって地球上のすべての生命が絶滅の危機に直面していることを危惧しており、その原因に対処するため、パタゴニアのビジネス、資金、ネットワークなど、有するすべての資源を使っている。

1993年、パタゴニアは企業としてははじめてPCR(消費者から回収/リサイクルされた)ペットボトルからの再生フリースを採用した製品を作りはじめ、のちにキャプリーン・ベースレイヤーにも採用するようになりました。それ以来、パタゴニアは何百万本のペットボトルを廃棄処分から救ってきました。

特に現在注目されているのが「Worn Wear」プログラム。この取り組みは、使用済みのパタゴニア製品を修理、再販、リサイクルすることで製品の寿命を延ばし、廃棄物を減らしています。

プログラムへの参加方法は自身の使用済みパタゴニア製品を店舗に持ち込み、修理を依頼するか、買い取りを申し込むことができます。また、修理やリユースが不可能な製品はリサイクルされ、新しい資源として再利用されます。

第4回循環フェスでは、循環ワークショップに出店いただき、リペア・リメイク体験を行っていただきました。

また、ステージイベントでは日本支社サーキュラリティ部ディレクター平田健夫さんにご登壇いただきました。

 

トークイベントレポート

Q.平田さんとの対談を経て、発見や気づきを教えてください。

:循環フェスのステージイベントで平田さんとの対談を通じて得た気づきや学びは多岐にわたります。驚いたことの一つは、パタゴニアさんが環境と共に生きる道を歩み始めたきっかけが、創業者でありクライマーであるシュイナード氏が1960年代にクライミングのために、岩壁を傷つける事に対して疑問が湧き上がったことが始まりだと平田さんはお話しくださいました。

私たちがこの地球上で経済活動を続ける中で、その副産物として環境への影響が出ていることは紛れもない事実です。本来ならば私たちが産んだ環境負荷を私たち自身で回収することは、生産・販売・消費に並び経済活動の中での行うべき要素の一つだと思います。しかしながら現代ではグリーンウォッシュという言葉が生まれるように、まるで良い行い、メリットとして環境保護活動を使用しているケースも時には見られます。

パタゴニアさんは原体験から人間の活動がいかに環境に影響を与えるかを経験、痛感し、環境保護を単なる慈善活動としてではなく、必要不可欠な経済活動の一環と捉えられておられました。行動軸の太さと、作る側として製品が環境に与える影響を理解し、最小限に抑え責任を最後まで全うされている姿勢は、私自身ものづくりをする立場としても心に留めておくべきだと深く感じています。

また、消費者教育にも力を入れている点にも感銘を受けました。
Worn Wearプログラムでは、一着の衣服が持つ可能性を最大限に引き延ばし、新品ではなくてもまた違った魅力があることを伝え広げておられます。リペアにより製品の寿命を延ばし、廃棄物を減らし、環境への影響を最小化する。さらには修理ワークショップやイベントを通じて、製品のケア方法を伝え消費者自身でも行えるよう、自らの手で製品の寿命を延ばす方法を提供されています。

消費者自身が製品の修理を行えるようになると、製品の需要が伸びることはもちろんですが、同時にものづくりの面白さを知ることができます。自身で手を加えると愛着が湧き、何気なく着ていた一着が唯一無二の大切なものに変化するのです。

私たちの行動が与える環境への影響を理解し環境保護のために動くことも大事ですが、純粋に楽しさや魅力を感じる行動が結果として環境を守ることに繋がると、環境だけではなく私たち自身の幸福感にも繋がるため、これこそが本来の持続可能な行動になると感じました。

速水:平田さんとの対談は多くの気づきがありました。なかでも、コットンの含有量が多い衣類を生産・販売していたが、コットンに含まれる化学肥料により社員が体調不良となったというエピソードは印象に残っています。何かを生み出すということは自分の知らないどこかで犠牲が生まれているかもしれないという視点を持っておくべきだと感じました。

私は大学1年生の頃から「potential」というブランドを立ち上げ、日々活動しています。電子廃材を活用したアクセサリーを展開しています。いわゆるアップサイクルによる作品の制作・販売を行っています。ただ、アップサイクルで輝かせることのできる廃棄されてしまう素材は限られています。ゴミを活用することよりもいかにモノを長く使い、ゴミをなるべく排出しないことが重要です。パタゴニアさんのような有名なブランドがWorn Wearプログラムのようなものの寿命を伸ばし、モノに愛着をもち、アップデートしながら大切に使う取り組みを行うことで、大量生産・大量消費から循環型社会にシフトチェンジすることができると思います。まだまだ環境問題に対して真摯に向き合い、解決するために働きかけているブランドは少ないように感じています。

私たちのようなZ世代は環境問題に関して興味関心があるかないかで、属するコミュニティまでも変わってきます。そしてコミュニティの中での流行りを重視する傾向にあると考えます。まだまだ環境の側面よりデザイン性や価格を重視した選択がとられているように感じています。

ファッションに対する意識改革を丁寧に行っていくこと、消費者の行動変容を促すこともブランドの使命となっていくでしょう。大量消費・大量生産の仕組みは消費者のニーズによって生まれたものであり、生産者側の責任だけではありません。今後消費者に求められるマインドは、自己の選択が地球全体をカタチづくり、ファッションは未来への意思表示であることを忘れないことなのかもしれないと感じています。

そして、消費者も当事者であることを忘れず日々、生活を囲む衣類に関心を持ちづけることが重要だと思います。

 

最後に

今回のステージイベントでは、「新品よりもずっといい」をコンセプトに活動するパタゴニア Worn Wearの取り組みをご紹介いただき、リペアの魅力と活動に対する信念をお話しいただきました。
私たちの日常にある小さな選択肢がこれからの環境・自然の姿を大きく左右しています。
お買い物をするとき、ほんの少しだけ考える時間を増やす。
これからもずっと大切にできるだろうか、どこで誰がどのように作ったのだろうか、本当に今必要だろうか、きっとそのお洋服を考える時間が愛着・想いをまた一層募らせます。
消費者としての責任と作り手としての責任を持ち続けるパタゴニアさんはものづくりを通して、環境との共存方法を広げておられました。

 


 

*今後の循環フェス開催情報
HP:循環フェス|古着の回収と再循環のお祭り ( junkan-fes.com )
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*衣類の回収拠点について
RELEASE⇔CATCH |手放し方に選択肢を。( release-catch.com )