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循環ズ

2026.04.07

循環フェス4月19日(日):廃材が「宇宙船」に変わるまで。循環フェス・オブジェ制作の裏側

始まりは、クリスマスの夜の「問い」から

2023年12月25日。
世間が華やぐクリスマスの夜、一つのLINEグループが動き出しました。

メンバーは、プロジェクトを牽引する松崎、全体を統括する循環フェス総合企画岩崎、そしてメインクリエイターとして白羽の矢が立った京都精華大学大学院の的野哲子。

岩崎が投げかけた企画案には、刺激的なキーワードが並んでいました。

「アンチテーゼ」「カウンターカルチャー」「ポップ」「グローバルデザイン」。

素材は古着、段ボール、廃材。予算は30万円。

循環フェスの「顔」となるフォトスポットでありながら、単なる装飾ではないメッセージ性をどう持たせるか。ここから、正解のない問いへの挑戦が始まりました。

「だるま、大仏……テディベア?」混迷のキャラクター開発

年が明け、2024年1月。最初の提案は、意外な方向からやってきました。

「だるまと大仏は斬新でした」と岩崎が驚いたように、的野の初期案はキャッチーさを追求したものでした。しかし、議論を重ねる中で浮かび上がってきたのは、最も重要で、最も高いハードル。

「サーキュラーエコノミーに興味のないZ世代が、直感的に『イケてる』と思えるかどうか」

「ゆるキャラ」ではいけない。かといって、真面目すぎてもいけない。

岩崎からは、「動物から離れて、モンスター設定はどうか?」「目が一つしかない『キモかわ』路線は?」と、よりエッジの効いた提案が飛び出します。

この時期、クリエイターの的野は「Z世代に響くデザイン」という難題に苦戦を強いられます。2月には新型コロナウイルスに感染するというアクシデントにも見舞われましたが、彼女の情熱が途切れることはありませんでした。

異分野のプロが集結し、二次元から三次元へ

キャラクターが形を成し始めた頃、プロジェクトは一気に加速します。

ブランディング担当の金山が加わり、「IP(知的財産)としてどう育てるか」という視点が注入されました。

一方で、巨大オブジェとしての「強度」と「構造」という現実的な壁が立ちはだかります。

ここで、段ボールのプロフェッショナルである洛西紙工の小田智英、そして3D設計を得意とする京都芸術大学の「志方」が合流。

「10ミリ厚の強化段ボールか、15ミリか」「パーツ数を減らして強度を出すには」「重心にコンクリートブロックを仕込むか」

LINE上では、深夜までミリ単位の設計議論が交わされました。平面のイラストが、構造力学に基づいた「設計図」へと姿を変えていったのです。

古着の「海」を泳ぐモンスターの誕生

2月半ば、的野はリサイクル拠点の現場を訪れます。山積みにされた廃棄予定の古着。その圧倒的な量と質感を前に、彼女のイメージは決定的なものとなりました。

誕生したキャラクターの名は「フルキル」。

別次元の「うゅきち」という星からやってきた、古着を愛してやまないモンスターたち。彼らが宇宙船(オブジェ)に乗って、古着を求めて地球へ降り立つ……。

この設定が決まった瞬間、プロジェクトに一本の芯が通りました。

「5案全部採用。当日どれが現れるかは謎にしよう」「SNSでストーリーをチラ見せしていこう」

単なるオブジェ制作は、一つの壮大な物語の演出へと進化しました。


嵐の前の予行演習と、執念のデータ修正

4月7日の本番が近づく中、4月2日に京都精華大学で行われた予行組み立て。

しかし、現場ではトラブルが続出します。「差し込み深さが合わない」「パーツが1センチずれている」。

本番まであと数日。小田と志方の間で、怒涛のデータ修正と再カット作業が繰り返されました。

「土曜日に大学に届けるので、本日中にデータを!」

「直ちに確認します!」

現場の緊張感はピークに達していましたが、誰一人として妥協を口にする者はいませんでした。

2024年4月7日:循環フェス当日

天候が危ぶまれる中、岩崎の「開催」の決断。

会場には、色鮮やかな古着を纏い、段ボールの堅牢な骨組みに支えられた巨大な「宇宙船」とモンスターが鎮座しました。

その存在感は圧倒的でした。

「イケてる」を模索し続けたデザインは、多くの来場者の足を止め、カメラのシャッターを切らせました。政治家から大学生、子供たちまでが、その不思議な造形に触れ、背景にある「循環」のメッセージを無意識のうちに受け取っていました。

終わりに:物語は次のステージへ

イベント終了後、的野はこう語りました。

「巨大な立体作品になる経験も初めてですし、多くの方に触れていただけて……今後の表現活動に向き合う貴重な経験になりました」

オブジェは現在、役割を終えて解体・保管されていますが、フルキルたちの物語はまだ終わりません。商業施設での展示や、新たな回収イベントへの活用など、彼らは再び私たちの前に現れる準備をしています。

クリスマスの夜に始まった小さなアイデアが、多くのプロフェッショナルと学生の熱量を飲み込み、巨大なうねりとなった100日間。

循環フェスのオブジェは、単なる廃材の再利用ではなく、「想いの循環」そのものだったのです。

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